2017〜2026年度・全127小問を、大単元・中単元・難度・出題形式の4軸で分類しました。ここでは分析結果の要点を無料でご紹介します。
武蔵中の理科でもっとも際立つのは、2017〜2025年度の9年間、毎年必ず1問「実物観察」という設問が置かれてきたことです。封筒に入れられた実際の物体(ねじ、鉱物、火山噴出物など)を受験生自身が手に取り、観察した内容を図や文章で説明させる、武蔵中に特有の出題形式です。この9問はすべて難度Cに分類されており、単元知識の有無ではなく、初めて見る物体をどれだけ注意深く観察し、言語化できるかという力が試されます。
もう一つの特徴は、総小問数が年9〜19問(10年平均12.7問)と、他校と比べて際立って少ないことです。設問数を絞ることで、1問あたりに割ける時間と配点が大きくなり、より深く粘り強く考えることが求められます。難度もA(易しい設問)がわずか8.7%にとどまり、C(差がつく設問)が46.5%と最大勢力を占める、他校とは逆転した構造を持っています。
武蔵中は、単元知識の暗記量ではなく、初めて見る対象にどう向き合い、何に気づき、それをどう言葉にするかという、理科の本質的な出発点にある力を一貫して試しています。小問数をあえて絞り込むことで、1問あたりの思考の深さを最大化し、基礎知識確認をほぼ排除して入試全体を「思考力を試す場」として設計しています。4分野を固定順序で並べず、その年ごとに柔軟に組み合わせる点も特徴です。
| 分野 | 難度の特徴 | 頻出テーマ |
|---|---|---|
| 物理 | 記述系の比率が高い | 光・音の性質、身近な物体の構造観察 |
| 化学 | 記述系の比率がもっとも低い | 熱・温度変化が繰り返し登場 |
| 生物 | 資料読解を伴う考察が中心 | 動物の生態・生理がほぼ毎年登場 |
| 地学 | C比率が4分野中もっとも高い | 火山灰・軽石が4年連続で出題 |
他校の多くはB(標準)が最大勢力ですが、武蔵中はC(差がつく設問)が46.5%とBをわずかに上回り最大勢力になっています。A(易しい設問)はわずか8.7%にとどまり、入試全体が標準〜やや難のレベルで構成されています。「基礎を固めれば安心」という段階を早々に通り過ぎ、Cレベルの思考力をどれだけ安定して発揮できるかが、事実上の主戦場です。
実物観察問題に備え、日常生活の中で身近な道具や自然物を観察し、言葉にする練習を習慣化します。設問数が少ないことを前提に、1問ごとに時間をかけて深く考える練習も重要です。A相当の易しい設問がほとんどないことを踏まえ、標準〜応用レベルの基礎体力を鍛え、地学は火山灰・軽石など自然現象のプロセスを複数年分の過去問で通しで学び、生物は動物の生態・生理を軸に資料からの理由説明を鍛えます。
note版では、10年分の年度別データと、分野ごとの具体的な学習アドバイスまで掲載しています。